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誤差の有効数字

一般に, 目盛りのついた計測機器を使って目分量で 測定値を読み取るときには, 最小目盛りの10分の1 まで読むという原則がある。 最小目盛りの10分の1を読み取るとき, いくら 正確に読み取っても最小桁の数値が$ \pm$1程度変動する ことは不可避だから, 測定値には最小桁の数値$ \pm$ 1の誤差が含まれ ると考えるのが妥当である。 このように考えると, 先に挙げた ノートの横幅の測定例では, 実際に得られた横幅の測定値は

$\displaystyle 21.06 \pm 0.01{\rm {cm}}
$

と記載する方が妥当であろう。 このとき, 誤差をあらわす 数値 0.01cm の有効数字は1桁だけである。

1.2節の例で述べたように, 測定値がディジタル表示になっていて, 測定値の読みがばらついて いるときには, 測定値のばらついている範囲から, 誤差を 有効数字が1桁になるように見積るとよい。

測定値の精度を上げるために, 複数回の測定を繰り返したあとで 統計処理をおこなうことで誤差を見積る場合もある。 また, 何らかの方法で系統誤差を推定して, 誤差の標記に系統誤差を含める場合もある。 このような場合には, (2)の例に見られるように, 誤差の有効数字を2桁取る場合がある。

一般に, 誤差は 不確かさの目安であるから, 正確な値がわかるということ はありそうもない。 だから, 誤差の有効数字は1桁か2桁あれば十分で, それより多く取ることにはほとんど意味はない。 また, 第1.2節でも述べたように, 学生実験のレベルでは, たいていの場合は誤差の有効数字は1桁あれば十分である。



Shigeru HANBA
平成16年8月16日