そうではないと考えられる根拠がいくつかある。 たいていノートの端はすこしささくれているから, どこをノートの端とみなすべきかは不明瞭である。 目盛りの10分の1は目分量で 読むことになるから, 光線の具合などによって 見え方が変化しそうである。 さらに, ものさしの長さは気温によって 変わるから, ものさしの目盛りも完全に信用できるわけではない。
結果として, われわれはノートの横幅の 真の値を知ることはできないのである i)。 すなわち, 測定によって得られた値には, ある程度の(大きさを見積ることのできる) 不確かさが含まれている。 このような不確かさを誤差と呼ぶ。
われわれがなにかを測るときには, 上の例と同様 の理由によって, 測って得られた値(測定値)には必ず ある程度の誤差が含まれると考えなければならない。
一般に, 測定値等に含まれる誤差の大きさを明示するときには, 測定値を
誤差の標記の具体例を見てみよう。素電荷は, 先に説明した誤差の記法のうち前者を用いれば,