ひとつめは, ノートのけばだちや目盛りの読み取りの 不確かさが原因となる誤差である。 この誤差が測定値を 大きくする方向に働くか小さくする方向に働くかは 偶然によって決まる。 このような偶然による誤差のことを偶然誤差という。
ふたつめは, ものさしの伸縮による誤差である。 気温が高いと極端に 伸びるものさしを使って長さを測る場合には, ノートの横幅は暑い日にはつねに短か目に測定されてしまう。 このように, 偶然によらない, 一定の傾向を持った誤差の ことを系統誤差という。
系統誤差の大きさは一般に見積り難く, また系統誤差の原因を究明して除去することは非常に困難である。 これに対し, 偶然誤差の影響を低減することは比較的容易である。 これはなぜかというと, 偶然誤差は正負の方向に 同じ程度の確からしさで働くと考えられるので, 同様の測定を何回もくり返しておこなって結果の平均を取れば, 誤差の影響は互いに打ち消しあって小さくなると考えられるからである。 平均を取ることの 効果については後の節でもう少し詳しく述べる。