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加減算による間接測定

間接測定値を計算するために要求される演算が加減算のときには, (19)から測定値を記録するための目安が得られる。 (19)にあらわれる $ \delta x_1,\ldots,\delta x_n, \delta y_1,\ldots,\delta y_m$ のなかに値が大きいものや小さいものがあるときには, それらの中で値が一番大きいもの(値がほぼ同じものが複数あるときには そのうちの1個)で誤差を代表させることができると考えられる。 このような場合には, 必要なら四捨五入して, 間接測定値を記録する最小桁を 測定量のなかで誤差の値がいちばん大きいものの最小桁に合わせれば, 極端におかしな記録のしかたをすることは防げる。

上の説明だけではわかりにくいと思われるので, 例によって実際の処理のようすを見ることにする。 測定値$ A$が1.341, 測定値$ B$が0.22, 測定値$ C$が0.00731 と誤差を明示せずに記録されていて, $ D=A+B+C$を間接測定値として記録したいという状況を考える。 図1にこの場合の処理のようすを示す。 この例では, 測定値$ B$に含まれる誤差が最大だから, 間接測定値$ D$$ B$の最小桁と同じ桁まで記録される。 結果として得られる記録は$ D=1.57$である。

図 1: 間接測定値(加減算)を記録するときの処理
\includegraphics[scale=.5]{error-1.eps}

なお, 間接測定値の計算に減算が含まれ, 減算に用いる2個の測定値の値がほぼ等しいときには, 計算値を記録すべき桁が極端に少なくなることがある。 たとえば, 測定値$ G$が4.815301, 測定値$ H$が4.8152 と誤差を明示せずに記録され, $ I=G-H$を間接測定値として 記録したいときには, 上述の規則にしたがって, $ I=0.0001$ (あるは $ 0.1 \times 10^{-3}$)と書く。 このような場合には, 計算値自体が見込まれる誤差の大きさとほぼ同程度まで 小さくなってしまうので, 計算値はあまり信頼できない。



Shigeru HANBA
平成16年8月16日