Next: 参考文献
Up: 測定値の取り扱いと実験データ解析
Previous: 公式集
本稿では紙数の制約のために例題を多く取り上げることができなかった。
文献[5]に誤差解析の動機付けや手法を理解するための
適切な例題が多数記載されているので参照してほしい。 また,
本稿で述べた間接測定における誤差の見積りはいわば「最悪の場合」
に対応するものであるが, 誤差がすべて偶然誤差に起因するときには
誤差をより小さく見積ることが可能である。
これについては文献[5]の
第3章を参照してほしい。 さらに, 正規分布については同文献の第5章で,
最小2乗法については第8章でより詳しく論じられている。
特に実験データへの多項式の当てはめの方法は重要なので, 必ず文献を
参照すること。 なお, 本稿では最小2乗法の記法として文献[5]より
見通しが良いものを採用しているが, これらは本質的に同じものである。
本稿の記述と文献[5]の対応関係を調べることは読者に任せる。
文献[5]は初学者向けの入門書であり, 読みやすさを優先するために
重要ではあるが数学的に難しい事項は省略されている。 これらについてきちんと
勉強したい学生は, 文献[6]を参照するとよい。
文献[5]および文献[6]はいずれも読者が最低限の
確率論および統計学に関する知識を持っていることを前提としているので, 高等学校で
確率統計を一切勉強していない学生にはやや取り付きにくい部分があるかもしれ
ない。 必要を感じた学生は適宜教科書を探して補ってほしい。
確率論の教科書については, あまりに多くの種類の書籍が出版されているので,
特定の書籍を薦めることはしないが,
- 大数の法則や中心極限定理について解説されているものが望ましい
- ルベーグ積分が出てくる書籍は数学的にやや難解かもしれない
ということは目安として覚えておいてほしい。
統計学についても, 出版されている書籍の種類が非常に多く,
良書も幾多あるのだが,
少ない予備知識でも読み進めることができる入門書として[2]を上げておく。
実験が大規模になってくると,
実験データ解析のためにはコンピュータによる数値計算が
不可欠の道具となってくる。 ところで, コンピュータで数値計算を
する場合には, 注意を要する意外な落とし穴がたくさんある。
これについては文献[1]にエッセイ風に読みやすくまとめ
られているので, 興味がある読者は参照してほしい。
Shigeru HANBA
平成16年8月16日