ここで, 以下の議論を簡単にするために,
以下では, と
の組み合わせが複数回観測されている
ものとし,
番目の
の観測値を
,
番目の
の観測値を
と書く。
個の観測値
と
が与えられて
いるとき, ここから
を決定することが問題である。
では, どのようにして
を決定するのが良いだろうか?
の推定値を
とする。 このとき,
推定値
の良さは観測値
とその
推定値
との誤差で決まる。 そこで,
すべての観測値に関するこれらの誤差の2乗和を最小にする
ことを考える。 すると, われわれの解くべき問題は,
ベクトル
の第
成分を
,
対応するベクトル
の第
番目の観測値の第
成分を
と書くことにする
。
は
に関する2次形式であって,
さらに
とすると
となるから,
(42)が最小となる点は,
各
について
が
の関数として
極小となる点の共通部分, すなわち
(43)が零となるということは
正規方程式(47)を解いて得られたパラメータ推定値
は,
各
には誤差がなく, すべての
が同一の正規分布にしたがっていて,
かつ
に対し
と
が確率的に独立であるとき,
の最尤推定値となることが証明される。
続いて, 正規方程式を解く方法について考えてみよう。
行列が正則であれば,
(47)の両辺に
の逆行列をかけることにより,
の推定値
行列が正則でないときには,
(47)は解を複数持つ。
すなわち,
が正則でないということは,
を完全に決定するためにはデータの数が足らない
(あるいはデータの品質が悪い)ということを意味する。
このような場合はデータを追加して計算をやり直すこ
とが望ましい。 ただし, このままでも,
が一意的に決まらないだけで(47)に
解がないわけではないから, (47)を満たす複数の
の中から適当なものを選んで推定値として
採用することはできる。