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正規分布と中心極限定理

先の節では, 天下り的に正規分布という確率分布を導入した。 この節では, 正規分布がなぜ重要なのかについて説明しよう。

正規分布が重要であるのは, 確率分布に関して中心極限定理と呼ばれる 重要な定理が成り立つからである。 中心極限定理とは確率変数の平均値 (これも確率変数とみなせる)がしたがう確率分布の性質に関する いくつかの定理の総称なのだが, ここではその中で比較的わかりやすいもの を結果だけ紹介する。

定理 1 (中心極限定理)   確率変数 $ x_1,\ldots,x_n$が互いに独立で, これらがすべて同一の 平均が零で分散$ \sigma^2$が有限の確率分布にしたがっている場合には, 確率変数

$\displaystyle \frac{x_1+\ldots+x_n}{\sqrt{n}\sigma}$ (33)

は平均零, 分散1の正規分布にしたがう。

中心極限定理が教えるところによると, 同一の条件のもとで同一の測定器を 使ってある物理量を測定したときの測定値の平均値の分布は, 測定回数が十分多いときには, もとの物理量がしたがう確率分布の形状によらず, 正規分布にしたがうとみなせることになる。



Shigeru HANBA
平成16年8月16日