正規分布が重要であるのは, 確率分布に関して中心極限定理と呼ばれる 重要な定理が成り立つからである。 中心極限定理とは確率変数の平均値 (これも確率変数とみなせる)がしたがう確率分布の性質に関する いくつかの定理の総称なのだが, ここではその中で比較的わかりやすいもの を結果だけ紹介する。
中心極限定理が教えるところによると, 同一の条件のもとで同一の測定器を 使ってある物理量を測定したときの測定値の平均値の分布は, 測定回数が十分多いときには, もとの物理量がしたがう確率分布の形状によらず, 正規分布にしたがうとみなせることになる。